出典 全国社会保険労務士会連合会
個別労働関係紛争解決をサポートするADR(※)代理業務
(※)alternative dispute resolutionの略称で、「裁判外紛争解決手続き」と訳されます。
労働問題で困ったときには、「よし、労働基準監督署に行こう!」となります。労働基準監督官の警察権限は国家権力であり強烈ですので、警察権限の発動は労働法に違反するような違法状態がある場合に限定されます。つまり警察権限は違法状態とはいえない民事問題には及ばないことになり、これを 「警察権限の民事不介入の原則」と呼ぶわけです。
例えば、労働者が残業したことを前提に、会社が残業代を払わないことは違法ですから警察権限が介入できるのですが、そもそも労働者が残業したかどうかを労使間で争うことは民事問題であって違法ではありませんから警察権限は介入できないのです。ここに労働基準監督署を活用する難しさがあるのだと思います。 そして労働基準監督署で扱えない民事問題は、あっせんや裁判といった受け皿にて解決が図られていくのです。
しかし、裁判はお金も時間もかかります。また、裁判の内容は一般に公開されるので、経営者と労働者が互いに名誉や心を傷つけあう結果にもなりかねません。そんなときこそ、ADR(あっせん等の裁判外紛争解決手続)の出番です。
ADRとは、裁判によらないで、当事者双方の話し合いに基づき、あっせんや調停、あるいは仲裁などの手続きによって、紛争の解決を図ります。
特定社労士の主な業務内容
ADR代理業務は、特定社労士が行うことができる業務です。
特定社労士は、トラブルの当事者の言い分を聴くなどしながら、労務管理の専門家である知見を活かして、個別労働関係紛争を「あっせん」という手続きにより、簡易、迅速、低廉に解決します。
個別労働関係紛争のあっせん
労働者側 | 使用者側 |
・賃金(残業代など)を払ってもらえない。 ・一方的に賃金が引き下げられた。 ・年次有給休暇が取れない。 ・配置転換命令を受けたが、理由が納得できない。 ・退職金を払ってもらえない。 ・採用当初に提示された労働条件が、実際と違う。 ・会社から執拗な退職強要を受け、精神的苦痛を感じる。 ・突然、会社から解雇を言い渡され、困っている。 ・長年、パートタイマーとして働いてきたのに、突然もう来なくて良いと言われた。 | ・ 仕事でミスがあったため給料をカットしたところ、抗議を受けている。 ・社員に、やむを得ない事情で配転命令を出したが、理由無く拒否されて困っている。 ・社員から高額な退職金の上乗せを求められて困っている。 |
上記のような紛争について、お互いが折り合えるところを見出し 解決に繋げていきます。 |
あっせん申立てに関する相談・手続き
問題解決の豊富な経験を有する特定社労士が、皆さまに代わって「あっせん」に必要な手続を漏れなくスピーディーに行います。
代理人として意見を陳述・和解の交渉・和解契約締結
確かな知識を持った労働問題の専門家である特定社労士は、皆さまのお考えを法的に整理し、円満な解決に導きます。
- 個別労働関係紛争について厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続の代理(紛争価額が120万円を超える事件は弁護士の共同受任が必要)
- 個別労働関係紛争解決促進法に基づき都道府県労働局が行うあっせんの手続の代理
- 男女雇用機会均等法、育児・介護休業法及びパートタイム労働法に基づき都道府県労働局が行う調停の手続の代理
- 個別労働関係紛争について都道府県労働委員会が行うあっせんの手続の代理
- 上記代理業務には、依頼者の紛争の相手方との和解のための交渉及び和解契約の締結の代理を含む。
一般的な費用について
弁護士費用に比べれば、特定社会保険労務士に対する費用は少なく済みます。
費用を抑えて、かつ、早期に和解をご希望の際は、特定社会保険労務士に、個別紛争解決手続きの代理をご依頼下さい。紛争解決手続において当事者を代理させて頂く際は、中立的な立場をとらず、ご依頼者の立場に立ち、その権利実現に向けて最大限尽力をいたします。尚、社会保険労務士としての倫理上の観点等から、ご依頼をお断りさせて頂くこともございます。あらかじめご了承下さい。
着手料 | 5万円から |
同行・立会料 | 1万円から |
必要経費(交通費、通信費等) | 実費 |
成功報酬 | 20%から |
着手料のみ前払いをお願いしています。
まずはメール・電話でお尋ね下さい。
あっせんが不調に終わり、和解合意に至らない場合
労働審判あるいは訴訟に進むことができます。労働審判あるいは訴訟に進んだ場合、特定社会保険労務士に代理権がありませんので弁護士が担当します。当事務所は、不調に終わったあっせんの内容や経緯を担当の弁護士(ご紹介もできます。)にきちんと引継ぎ最後までフォローを行ないます。
補佐人として最後までフォロー
特定社労士(一般の社労士でも可)は補佐人として、個別労働関係紛争に関する民事訴訟の場面で、弁護士とともに裁判所に出頭し、陳述することができます。社労士が補佐人として行える業務は「陳述」であり、「尋問」はすることができませんので、事実関係や論点をまとめる、最新法令や通達といった情報を提供する等、弁護士が尋問するためのサポートを行います。依頼者は、当初より相談を受け事の次第を把握する特定社労士(同)が、補佐人として弁護士とともに訴訟の対応にあたることで、安心して訴訟による解決を選択することができるようになります。